KID WAS (キッド ワズ) ー彼女は賞金稼ぎー

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 西暦22XX年 第6地区  広大な砂漠。   ジリジリと照りつける太陽。    舞い上がる土ぼこり。   カラカラに乾いた空気。     小高い岩山の頂上に彼女は立っていた。  年の頃は21、2歳といったところだろうか。 重々しいワークブーツにカーキ色のカーゴパンツ、薄汚れた褐色のマント。  傷だらけのヘルメットに、使い古したゴーグル。   彼女はインターネットと連動している双眼鏡を見ていた。 そこに映っているのはいくつかのアイコン、目まぐるしく変わるいくつかの数字。 岩石だらけの砂漠。  肌を伝う玉のような汗。 双眼鏡を覗いたままミリタリーカラーの水筒を手に取った。  ごくごくと喉を鳴らして水を飲む彼女の、アゴから首元にかけての(ライン)が美しい。 頬からアゴを伝って滴り落ちる汗を、そして飲みこぼした口元の水を手の甲で拭った。
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