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言葉を遮られる程の光が窓の外で鋭く唸った。私は思わずしゃがみ込もうと身体をゆがませた次の瞬間、がっしりと温かいものに包まれているのに気付いた。
「うおー!雷だー。怖ーっ!」
耳元でいたずらな声に囁かれた。
机の下で、私は迅に抱きしめられていた。
ドクドクと鼓動が加速する。
「好きなんだ、美雨音のこと…」
吐き出すように言う彼の声は、少し震えるように聞こえる。
雷鳴と共にまた雨音が強くなった気がした。
「嘘つき…」
「え?」
「最初から…かばってくれてた。自分からわざと雨男宣言までして……」
「あー…うん。あの時はまさかこの2年で、何度も雨になると思わなかったけどな」
「……やっぱり私、雨女なのかな」
「……じゃ、俺もカミナリ男?」
思わず迅の中で肩を震わせる。
そっと彼の背中に回した手に力を込めた。
どうか、まだ今はやまないで……。
校舎に響く雨音に願う。
落ちていく雨粒一つ一つが、まるで迅への想いだったかのように私の心をいっぱいにした。
『美雨音って、キレイな名前だよな。呼んでいい?』
「迅……あのね…」
図書室の片隅で、雨音が私たちを優しく隠していた。
[終]
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