この雨はきっと僕らのせい

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この雨はきっと僕らのせい

 「やっぱりここに居たのか……」  「……迅」  大して頭にも入っていなかった本に落ちていた視線をパッと上に向ける。急に頭を動かしたせいか、一瞬くらりと視界がぼやけた。ぼやけた先に、いつもの彼の姿があった。  「また、降っちゃったなと思って……我ながらうんざり」  「お前のせいじゃないだろ?」  「そして、俺のせいでもないっ!」  彼、神成迅(かみなりじん)はそう豪快に言うと窓際の本棚の上に飛び乗った。  「でも花火は見たかった気もするな~」  そう言いながら窓の外を眺める彼の横顔は、いつも通り爽やかだ。  オレンジに近い茶色い短髪に左耳だけに光る金色のリングピアスは煌めくたびに心をざわつかせた。  窓に打ち付ける雨の量がさっきよりも増えた気がした。  「クラスの方は、どう?」  恐る恐る尋ねると、ニヤリと笑った迅と目が合った。  「大丈夫!あいつら現金だから、担任が差し入れしてくれたジュースや菓子で打ち上げの真っ最中」  「そっか…」  安堵のような、少し腑に落ちないような複雑な気持ちが入り混じる。
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