この雨はきっと僕らのせい

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ごくごく自然に、しかもフレンドリーに話を振った先が、カースト層下位であろう地味な女子ということに、一斉に好奇の視線が集まるのが分かった。  『は…えっと……す、すみません……』  そう答えるのが精一杯で、それからのことは雨で滲んだ窓ガラスのように覚えていない。  でも、それが迅と初めて話した日だった。  そしてその日以来、行事日が雨になるとカミナリ男と雨女でいじられるというパターンが出来上がった。  スクールカースト上位グループのからかいに、他のクラスメイトが反論することはない。釣られて一部が同調し、大半はスルーだ。ただ、いつも迅が何となく私の盾になっていじられ役を引き受けるという構図になっていた。そしてその構図は一部の女子からの反感を買い、私はからかいとは違う鋭い言葉を時々投げつけられた。もっと気の利いた返しが出来ていたら…。もっと毅然とした態度が取れていたら…。  結局出来なかった私は、雨が降ると決まって教室から抜け出し、こうして図書室の片隅に籠るようになっていた。
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