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雨は止むことは無い。
今日も今日とて虚無を行く。才能なんて、自分になければこのようにないのと同等。死ぬこともできず、生きていける力もない。
「あぁ、君が天城さん?」
「はい、萌香って呼んでください。今日はよろしくお願いします」
「あぁ、よろしく」
清潔な人だ。でも、中身はどす黒いんだろうな。こんなことをしてしまう時点でそれは明確だ。そして、私も変わらない。誰にも等しく塗りつぶす黒。
いつし。か、皆汚れてしまうんだ。
「あれ? 可愛いストラップしてるね? 何かのアニメ?」
「はい。小さいころからずっとこのキャラクターが好きなんですよ。皆からは馬鹿にされることもあるんですけど、どうですかね?」
「そんな。好きなものに年齢なんて関係ないさ。萌香ちゃんが好きならそれを貫きとおせばいいんだ。人とは違うってのは、悪いことじゃないんだから」
なんで、こんな人しか欲しい言葉をくれないのだろうか。
なんで、こんな人たちにしか伝わらないんだろうか。
なんで、こんな人しか私を見てくれないんだろうか。
こうして、濡れて。溺れて。汚れていく。
降り出した雨は止まない。
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