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魔子論破
「やる気あるのか!」
「ないです。」
「なんでこの部活に入った!」
「先生が凄い勧めてきたからです。」
「……だったら辞めてしまえ!」
「はい、辞めます。」
冷淡。彼女はまさにそうだった。言われたとおりに動き、言われたとおりに動く。そのまんま。しかし操り人形ではない。いけないと思ったことはやらない。
「せんせぇ、シロハナにかまってちゃダメっすよー」
顧問の先生に男子生徒が声をかける。
「シロハナ……」
「白花魔子ですよー。何でもかんでも正論で論破論破ですよ。苦手なヤツも、ケッコー多い見たいっすよぉ。」
「魔子ちゃん頭よくて良いなぁ」
魔子と仲の良い蘭香が声を書けてきた。
「勉強しろって、言われるからね。」
冷たい氷のように喋る。
「嫌じゃないのー?」
「嫌だけど、やらないと……。」
「へえー、良い子だねぇ。私なんか、店番全力で逃げたからね、昨日。まあ結局店番続行することになったけど。」
蘭香は笑いながらそう話した。
「ねぇ。魔子はどうしてテニス部辞めたの? 自分の意思も、入ってるんじゃない?」
魔子は少し考えた。
「……そうね。なんか、あまり居心地が良くなかったわ。」
帰り道。魔子は公園で操り人形の劇を見つけた。小学生ぐらいの子供たちが群がっている。操り人形を公の場でやるだなんて……珍しい……。
魔子は少し気になってその劇を見た。
「さあ、この操り人形のボータ君を、よおーく見てね。なんだか、不思議な感じが~してくるよ~。」
丸いサングラスをかけた怪しいオジサンがそういう。操り人形は目がカッと見開いてて少し気味が悪い。「ボータくん」と書かれた名札を付けている。
魔子はボータくんをじっと見つめた。すると、突然。周りにいた子供たちが倒れた。と思ったら、眠っていた。
オジサンは、子供たちが眠りだしたことじゃない他のことが予想外で驚いていた。
「!? ……ねぇちゃん、あんた……」
魔子は倒れた子供たちをキョロキョロする。
「……どうしたのでしょう。」
「なんで、眠らないんだい……?」
「……?」
「あっ、あのな、ボータ君の目をジーッとずーっと真剣に見てると、催眠術……にかかるんだよ! なっ なんでかからないんだい!?」
その質問に、魔子は当然のように答えた。
「だって」
「だって?」
「オジサンがボータ君を見てって言ったからです。」
「…………!」
「ボータくんの目を見て、だったら分かりますけど……。」
「……目のインパクトが強いから、目を見るんじゃ……」
「だって目って言われてないですし……」
「……じゃあ、ボータ君のどこを見てたんだい?」
「全体」
そう言うと、魔子はお辞儀をして公園を出て行った。
「……もっと細かく言うべきだったか……」
オジサンは俯いてため息をついた。
終
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