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コンコン…コンコン…
男は窓を叩き続ける。
私はウィンドウを下げた。
「あの、私に何か用でしょうか。」
「となりのビルに勤めています。向井と言います。
傘がなくてお困りかと思いましてお声掛けしました。
あの、ぼく今からビルに行くんですが一緒に来ませんか?
当分雨もやみそうにありませんし。」
男はそう言い、名刺を渡した。
名刺に記載された住所は私の勤務する会社と同じビルだった。
「いいんですか?ありがとうございます。」
そう言って、私たちはロビーに向かった。
駐車場を出るときに私は車に携帯電話を忘れたことに気づいた。
「ごめんなさい、私車に忘れ物したから取りに行くわ」
すると男が急に私の手を掴だ。
「振り返らずこのままロビーに向かってください。」
私は驚き手を振り払おうとしたが、力が強く振り払えなかった。
「騒がないでそのまま歩いてください。」男は小さい声で言った。
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