雨の日の駐車場

3/4
前へ
/4ページ
次へ
私はたちはロビーに着き、一番奥の席に着いた。 男はしきりに入り口を気にしている。 「あの、向井さんでしたっけ?どういうつもりですか?」 「急にすみません、あの名刺は同僚のものです。」 「え?あなた一体何なの?」 「あの場で名前を名乗るのは危険かと思って…つい嘘をつきました。すみません。 あなたの車の同乗者の様子がおかしかったので……。」 「同乗者って?私一人で通勤していますが。」 「やっぱり…。」男は考え込んでいた。 私は意味が分からなかった。この男は何なんだろう。 「な、なんなの?警察呼びますよ。」私は、震える声で言った。 「その方がいいかもしれないです。」男はそう言った。 「どういうこと?いいんですか、本島に警察呼びますよ。」 「信じてもらえるかわからないですが、 あなたの車の同乗者が、その…ナイフを持っていたんです。」 「何言ってるんですか?同乗者なんていません。そんなことあるわけないでしょ。」 ロビーの自動ドアが開いた。 「先輩、おはようございます。あれ?今日はフリースペースにに行かないんですか?」 「おはよう、ちょうど今から行くところよ。それでは失礼します。」 私は男を振り払い、後輩と急いでフリースペースに行った。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加