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好き好き、大好き
同棲が認められたからといって、すぐにそれが出来る訳ではない。
真琴ちゃんは実家へ戻ったし、華ちゃんも今日は真琴ちゃんと遊ぶんだと柴家に留まっていた。
俺は急に機嫌を損ねた伊織と共に夕飯の買い物をしては、彼のマンションに戻る。そこでどう彼に声を掛けていいのか悩みながらも、外から戻ったばかりなので一緒にシャワーを浴びていた。
「なぁ、伊織……なんか怒ってる?」
「……別に」
「そのさ、別にって言うのやめろよ。なんか寂しいじゃん」
「……じゃあ、晴弘さんは俺が怒ってるって、どーして思うんすか?」
「そ、それは……」
湯槽に浸かっていた俺は、シャワーを浴びている伊織にそう聞き返されては俯く。
怒ってるのか分かんないから、こっちは聞いてんだし。意地悪かよ。
それでも今日は、彼の両親に2人の仲を認めてもらえた特別な日なのだ。こんな意味の分からない事で伊織とギクシャクしたくは無い。
膝を抱えてモヤモヤとしていると、身体を洗い終えた伊織が湯槽に入って来る。
彼は俺と向かい合うように腰を下ろしては、さっきの話しの続きとばかりに前髪を上げて俺を見るのだ。
普段隠れている伊織のイケメン顔がこうして見られるのは、俺だけの特権かもしれない。それがカッコいいから、俺もついクラっときてしまう。
「……伊織は、なんでそんなに焦ってんの?」
「は?なんの話し?」
「……同棲の事。大学卒業までのあと2年は待つって言ったのに」
「あー……それは……その……」
今度は伊織が口籠る番だった。
そんな彼の顔を覗き込むようにして近付けば、伊織はため息と共に俺の腕を引く。そうやって肌と肌とが触れ合えば、人肌に安心して言葉も出て来るというもの。
俺は正面から抱き締められたまま、耳元で囁かれる。
「……晴弘さんが、欲しかったから」
「……へ?」
「アンタが俺との同棲渋って、そのまま他に行かれるのが嫌だったんすよ。だからその前に俺の側に置いて、逃げられないようにしたかったっつーか……」
照れくさそうに頬を染め、彼は息と共に言葉を吐いた。
「……アンタも聞いてただろ?俺、こー見えて寂しがり屋だって。晴弘さんが側に居てくんないと、マジでもう無理っすから」
「伊織……」
やっと、彼がなんで怒っていたのかが分かった。俺が彼の母親に、伊織が別れたいと言ったら……なんて事を口にしたからだ。そんな事無いって分かっていてもあの場ではああ言わざるをえなかったし、俺だって、本当に伊織に別れたいなんて言われたら死にものぐるいで引き止めるはずだ。
それでも自分は信用されていないと思ってしまったようで、この年下の恋人は拗ねていたのだ。
俺は伊織をギュッと抱き締めると、朱に染まる頬にキスをしてやった。
「……晴弘さん?」
「……俺も、お前と一緒にずっと居たい。ていうか、胃袋掴まれてるのに今更他なんて行けるかよ」
伊織が安心出来るように、もっと好きだって伝えなきゃ。
俺も、伊織の全てが欲しいんだから。
「……胃袋だけじゃないよ。心も、身体も……とっくに伊織の虜だから。……大好きだよ、伊織。俺ももう、伊織なしじゃ生きていけない」
顔を上げて、俺は自ら伊織の唇に口付けをする。
いつもなら彼から触れて来るのを待つのだが、今回は俺から触れたかったのだ。
すると伊織も口を開けて、舌を絡めてくれる。浴室にはピチャピチャと唾液の音が響いて、互いの興奮が高まっていく。
「んあっ……伊織、もっと……っ」
「……ん、ちゃんと触ってあげるっすから……もっとこっち」
身体を持ち上げられ、彼の膝上に座らされる。お尻に当たるソレは既に硬く、俺も自然と腰が揺れはソコを擦り付けてしまっていた。
「あっ、伊織の……どんどん硬くなってく」
「晴弘さんが欲しがるからでしょ……ちょっと待って。今解すから」
「い、いい……そんなこと、しなくて……」
「え、でも……」
伊織の手が腰を撫で、秘部へと触れようとしていた。けれど俺はその手を掴み、止めさせては甘い声で誘惑する。
「伊織が風呂に入って来る前に……自分でシたから」
「……は?」
「もう、お前が欲しくてたまんなかった」
帰って来てすぐ、俺は風呂場へ直行した。伊織は買い物した食材を冷蔵庫に入れて、軽く玄関先を掃除をしてから毎回風呂に来ると知っていたから、その隙に後ろを解していたのだ。
今日はまだ時間もあるし、どうせ夕飯をご馳走になってから帰るつもりでいたから……もしもの為にと、彼の手間を省いていた。
「……伊織が親に会わせてくれたの、すげぇ嬉しかった。そんなに俺に本気なんだって感動したし、愛されるんだって思ったら……伊織と早く繋がりたくて、我慢出来なかったんだ」
伊織の頭を自分の胸に抱き寄せては、頭頂部のつむじにキスを落とす。
同じシャンプーを使ったはずなのに、そこからは伊織特有の、俺の好きな匂いがした。
「……伊織が好き。大好き。……もっとお前と繋がっていたい」
「!……晴弘さんっ」
「ぅあっ!んん……っ!」
伊織は両手で俺の尻を割り開き、その中心部に熱い杭を埋め込んだ。少しだけキツかったがすぐに伊織のソレと馴染み、愛しそうに中がうねるのを感じる。
「……すっげ。晴弘さん、どんどん淫乱になってくっすね……最高かよ」
「はぁ、あ……ん……っ、だって……伊織が……っああ!」
「ん、俺が……なに?」
下から容赦無く突き上げられ、イイところに彼の硬い竿が当たってしまう。
俺は必死に伊織にしがみつき、もう理性の働かなくなっていた頭でそれを伝えた。
「伊織がっ……おれを好きっていうからぁ……んあ!……も、あたまも、身体も……とけちゃうぅ!」
伊織に触れられてる部分が、どこもかしこも熱かった。ドキドキして、キュンとして、クラクラとする程に愛しくて。
身体が揺れる度、お湯が波打って俺達を濡らす。伊織も俺の乳首に吸い付いては、舌先で弄ったり甘噛みをしたりして愛撫するのだ。
こんな事が気持ちいいなんて、前の俺なら絶対に知らなかったのに。なのに伊織と一緒に居ると、どんどん身体が暴かれていくようで興奮する。
「……晴弘さん、マジでかっわいー……んっ、もう一生手放せねぇじゃん……どーしてくれるんすか?」
意地悪にそんな事を聞いてくる伊織が、俺はカワイイと思う。俺の気持ちを、言葉を欲しがってその優しい瞳で見つめてくるのだから、尚更。
俺はそんな彼へと胸を突き出しながら、締まらない口から気持ちを溢れさせてしまう。
「いおりと、ずっと一緒にいるぅ……!ぁあっ!……ずっとあいしてる、から……、いおりもおれを、好きでいて……?」
こんなに大好きだと思える相手は、多分もう一生出会う事が無いだろう。
俺のそんな譫言のような台詞に、伊織はソコを更に大きくさせては激しく腰を動かすのだった。
「くそっ……マジでどーにかなりそうだしっ!」
「ぅああ!はげし、……いおりっ!も、やだ……!イくぅ!」
「晴弘さん、好きっ……っく、もぅ、俺も一緒に……!」
一番奥まで突き上げられ、中で熱い精液が弾ける。
俺は腹の奥深くでそれを受け止めて、愛しい想いと共に飲み込むのだった。
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