流星群が収束する地へ

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 土地の遠くに、同じ軍隊の車両の隊列が見えた。衛星装置を積んだ車両と、大型のコンテナのようなものを積んだトレーラーが何台も連なっていた。 「宴の会場だよ。俺たちが主導で行うんだ」  太陽はほとんど沈みかけていた。ジムがハンドルを片手にライトを点灯する。器用なものだ。  会場には付近の民間人が同じように料理皿などを抱えて集まっていて、風土の違いはあれど、せわしなく、それでいて手際よく設備を準備している様を見て、テュシアー島のことを思い出した。  僕も変わらずあの島で暮らしていたら、いつかこのように会場の設置を手伝っていたのだろうか。それとも、変わらず両親に手を上げられていたのだろうか。  車を止めた近くに直属の上官が立っており、僕もジムも急いで降車すると帽子を被り直して彼のもとへ走り寄った。 「ジム・エイツとタッカー・ミゲル。ただいま到着しました」敬礼しながらジムが言った。  ご苦労、としわの多い上官は無愛想に手を上げ、僕を見遣ると、その後で腕時計を確認した。 「タッカー。君は定例祭の参加ははじめてだったな」 「イエス。サー」 「かしこまらなくていい。この日は特別なんだ」  上官はもう一度時計を見る。 「ちょうどいい。今日は【点火役】をタッカー君に行ってもらおう」 「上官、ですが」ジムが言いかける。 「ジム、こういうものだ。世の中は、こういうものなのだ」  ついてこい、と後ろを振り向いた上官のあとを追うために僕は足を動かすが、その際、ジムの顔はとても複雑だった。
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