鬼と人が暮らしていました

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「いたっ」 二日連続裸足に下駄。しかも昨日は、雨で濡れていたから、更に摩擦係数が大きくなっていたはず。流石に鼻緒が当たっている部分に痛みを感じたので、立ち止まって自分の足を見下ろした。 「あー」 思った通り、小さな傷が出来ていた。 僅かにじわりと滲む赤。何で手当てをしようかと思案している私に、影がかかる。 「やっぱり来たね、鬼子ちゃん」 その声に顔を上げれば、そこには、昨日と同じく漆黒を歪めてにやりと笑うアイツがいた。 髪は灰白、肌も何だか白っぽい。若干の違和感は否めないが、十分上手く鬼子に化けていた。 歩き続けてきた私は、自分でも気づかず昨日と同じ場所へと赴いていたらしい。アイツは、相も変わらず手ぶらだった。 「何、逢いに来てくれたの?」 「べ、別に、あんたに逢いに来たわけじゃ、」 「はーい、そう言う事にしといてあげる」 そう言いながら、鬼子もどきの人間は、おいで、と手招きをする。 「変なことしないでしょうね」 「しない、でも、」 「でも!?」 何をする気なの。
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