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「ほんと。……キミは?」
「……12歳。明日、13歳になる」
「へぇ、見えない」
「褒めてんの?」
「褒めてる褒めてる」
ずずっとお茶を啜りながら柔らかく笑う顔に、自然と私も笑みが零れる。
「あ、笑った、そっちのほうが可愛いよ」
「……!? そんなこと言っても何も出ないわよ!?」
「あ、そーだ、そう言えば、名前は?」
動揺した私の馬鹿げた台詞を華麗にスルーして、彼は私に名を尋ねる。
「……小梅」
「小梅かぁ、名前まで可愛いじゃん」
なんか悔しかったから、ダメもとでもう一回、挑戦。
「………だから何も出ないわよ」
「俺の名前、覚えた?」
はい、撃沈。
何だか悔しい想いのまま、彼の名を唇にのせた。
「…………桃」
「正解。小梅と桃かぁ、何か、風流で良くない?」
私にはお笑い芸人のコンビ名にしか聞こえないけど。
「私とお兄の方がいいわよ」
「お兄ちゃんがいるの?」
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