鬼と人が暮らしていました

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「小梅、帰ろう」 その声に、ぞくりと肌が粟立った。お兄は、如何して笑っているの。 「……後で、帰る」 「あっそう」 依然として桃にしがみ付いている私に、冷たい笑みを見せたお兄は、刀を閃かせて私に言う。 「……そいつ、その出血量なら、もう死ぬぞ。それでもいいなら、勝手にしろ」 そう言い捨てたお兄は、刀を鞘に納め、洞窟から出て行った。 「……小梅?」 「っ、桃!」 「痛って、……小梅のお兄ちゃんは強いね、立派な鬼になるよ」 顔に流れる血をぐっと拭って起き上がった桃は、痛そうに顔を歪めながらまた呑気にそんな事を言う。 「大丈夫、なの、」 「うん、普段から血がすぐに固まるように訓練されてるからね」 血が直ぐに止まる訓練。果たしてそれは、何を目的にして行われるものなのだろうか。 頭の隅をそんな疑問が過ったけれど、桃がいつも通り口角を上げたことにほっとする気持ちの方が勝って、何処かに消えてしまった。
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