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「……そうなの」
「大丈夫、僕、強いからさ」
ははっと強気に笑った桃は、手慣れた様子で傷口を消毒する。
「……小梅、ごめん、ちょっと手伝って」
「あ、うん……」
白い布に、つん、と刺激臭のする液体を染み込ませた桃は、お箸の様なものでそれを摘み、私に渡す。
「これで、僕の傷を拭いて」
「分かった」
血が止まって露わになった桃の額の傷口は、私が生まれて初めて見る色をしていて、少しだけ怯んでしまう。それに気づいた桃は、そっと私の腕をその褐色の指で掴んだ。
「大丈夫、死なないから」
「うん、じゃあ、いくよ」
私の所為で、桃は怪我をしたのに、私が及び腰でどうするの。気合を入れて桃の傷を消毒した。きっと痛くて堪らないはずなのに、私が手当てしている間、桃は始終笑っていた。
「これで、いい?」
見たことのない道具を桃の指示通りに使い、手当てをした。細長い布を頭に巻き付け、端を縛る。ぎゅっと結んで余った部分を、ハサミで切り落とした。
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