鬼と人が暮らしていました

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<お兄がいなくなるまであと3日> 次の日。 ぽかぽかと春の陽気が空気を色付かせる中、私は庭の草むしりにいそしんでいた。 如何してそんな事をしているのかというと、それは全部お兄の所為。今まで草むしりは、お兄の役目だったのに、いなくなるからって私がやることになった。最悪。 「あっつ」 まだ春の始まりだけれど、やっぱり動いているとじんわりと汗をかく。溜息を吐いて額に浮かんだ汗を、着物の袖で拭った。 そんな私の後ろに、人影が1、2、3人。 「小梅!」 その声に振り向けば、そこには見知った3人組。 「あ、(らん)! 向日葵(ひまわり)彩夢(あやめ)も!」 「やっほー、遊びに来たよ」 「小梅手伝ってんの? 珍しー」 そう言ったのは、私の家から一番近くに住んでいる鬼子の男の子の蘭。 歳は私の一つ上の13歳。長い睫毛とつり目が良く似合う、キツイ顔立ち。 ……ずけずけとしたもの言いから分かるように、性格もキツイ。 「いつも手伝ってますー」 あっかんべーと舌を出して蘭にそう答える私の袖をちょいちょいと引っ張るのは、これまたつり目の女の子。
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