如何して憎み合っているのか、知りませんでした

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「桜にだったら、何度でも、教えるよ」 「っ」 「俺は、――……鬼子と人間が憎みあわなくていい、そんな世の中を創りたいんだ」 無謀にも思えるその願い。 それを実現しようと、藻掻く桃は、やっぱりとても強くて――……美しい。 「桜、前にさ、俺が17の時、鬼ヶ島に薬草採りに行ったって、言ったよね」 「……ああ」 「……あれ、鬼子の身体に合った薬を作りたくて、こっそり行ったんだ。あの時はまだ、戦闘部隊だったし、結局バレて、任務に挿げ替えられちゃった」 その言葉に、初めて出逢った時の桃の洞窟が目に浮かぶ。道理で、あの場所は任務らしくない訳だ。任務ならもっとちゃんとした設備のある場所に泊まるはずだ。桃は、鬼殺しとして来ていた訳じゃなかったのだ。 だから、あの時、薬箱を持っていたのか。 だから、鬼子に逢いたいと、話してみたいと――……。 苦くて甘い感情が、口内を満たす。如何していいか分からなくて、ただじっとしていた。 「……苦しかったな、自分が戦闘部隊って事が。助けたいのに、助けられなくて」 それは、お兄の事を言っているのだろうか。 そう思ったら、胸が痛くて痛くて、仕方なかった。
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