如何して憎み合っているのか、知りませんでした

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「だからもう、忘れられる訳もないし、隠せる訳も無いんだよね」 だって、隠したって、きっと溢れちゃうし、たぶん見つかっちゃうから。そう言って桃は、すぅ、と小さく息を吸って、その柔らかな音を、私に届ける。 「俺も…………桜、の事が、好きだよ」 いつも通りの声で落とされたその言葉に、息が、止まった。 「……今、何て、」 「……だから、」 視界が遮られている所為で、桃の表情が見えない。何も出来ない私は、ただ、ぎゅっと手を握って、胸に当てる。 「――……俺と一緒に、生きて欲しい」 「……っ」 夢かと、思った。 身体が震えて、何も言葉が出て来なかった。 ただ、感情だけが、ぼろりと目じりから転がり落ちる。桃の手のひらにぶつかって、溜まっていく。何度も何度も、口で呼吸をする。 「桜?」 「………ちょ、ま、待って」 今、その手をどけられたら、私の涙でぐちゃぐちゃな顔が見えてしまう。そう思った私は、桃の手のひらが離れていくと同時に、ぱっと自分の手のひらで顔を覆う。 「ちょっと、今、顔が酷くて、」 「…………」 「ちゃんと、……ちゃんと涙が止まったら、返事するから――……だから、ちょっと待っ――……っ」
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