53人が本棚に入れています
本棚に追加
そう思いながら、荷物を下ろし七輪に火をくべる。ここまで洋風の部屋なのに、暖房器具は何故か七輪なのだ。今までは何も疑問に思わなかったその事実に、くすりと笑いが零れた。
温めている間に、放置してあった日めくりを捲る。
12月、27日。
あと4日で、新しい年が始まる。来年は、どんな年になるのだろう。
そんな事を考えながら、じっと文字を見ていて気が付く。ここではレンズは要らないというのに、そのままつけっぱなしにしていた。気づいたら何ともレンズは邪魔に思えて、外そう、と思い洗面台に立った。
鏡に映った自分の耳に、紅い耳飾りがきらりと光る。そっと指で撫でる。
桃と、お揃いの、耳飾り。
脳裏でそう呟けば、これを作った日の事が蘇って来た。
最初のコメントを投稿しよう!