お互いに幸せになれる道を探しているだけでした

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そう思いながら、荷物を下ろし七輪に火をくべる。ここまで洋風の部屋なのに、暖房器具は何故か七輪なのだ。今までは何も疑問に思わなかったその事実に、くすりと笑いが零れた。 温めている間に、放置してあった日めくりを捲る。 12月、27日。 あと4日で、新しい年が始まる。来年は、どんな年になるのだろう。 そんな事を考えながら、じっと文字を見ていて気が付く。ここではレンズは要らないというのに、そのままつけっぱなしにしていた。気づいたら何ともレンズは邪魔に思えて、外そう、と思い洗面台に立った。 鏡に映った自分の耳に、紅い耳飾りがきらりと光る。そっと指で撫でる。 桃と、お揃いの、耳飾り。 脳裏でそう呟けば、これを作った日の事が蘇って来た。
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