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卵焼きを見つけた私を見て、桃は嬉しそうにゆる、と笑う。
「ほら、卵焼きもう一個あげる」
「……ありがとう」
それは、やぶさかではない。
「えーっ、僕も欲しい!」
私のお皿に自分の卵焼きを移していた桃に、凜は自分も、と挙手をする。そんな凜を横目で見ながら、味噌汁に口をつけた時だった。
凜に向かって、桃は、にまりと笑って、爆弾発言をした。
「桜は特別」
「ごほっ」
味噌汁が気管の変なところに入って、咽せた。ゲホゲホと咳き込む私に、からからと笑う桃。
「えー!? 何でーっ!?」
「秘密ー、凜がもうちょっと大きくなったら、教えてあげる」
「えー! いつ? 明日?」
「んー、どうしよっかなー」
そう言いながらも、桃はちらりと私の事を見る。それだけで、頬にカァ、と血が上る。
桃の愛情は、意識するとやっぱりとても優しくて、受け取るこちらが赤面してしまう。
でも、それが、くすぐったくて、嬉しい。
……知らず知らずのうちに笑みが零れていた事は、桃と凛しか知らない。
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