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「――えー…以前は火力発電などで温暖化ガス排出量が増加の一途をたどっていましたが、皮肉にもそのために降水量が増えたことで、火力や原子力に代わって再生可能エネルギーである水力発電が主流となり、現在は温暖化の緩和が期待されていたりもします…」
湿度の高い静寂と、微かな雨音に支配された教室内に、単調な教師の声だけが聞こえている……。
おそらく、あまりおもしろみのないこの授業風景だけは、親世代の人々ともほとんど変わってはいないのであろう。
それよりも、変わったといえばやはり体育の授業だ。
かつては校庭と呼ばれる屋外運動場で行われることもあったようだが、現在はすべて体育館の中でが当たり前である。
といっても、昔の人が想像するような体育館とはたぶん少し違う。
屋外でやっていたものをすべて屋内でやるのだから、そりゃあ、昔風の小さな体育館では役不足だろう。
以前、校庭だった敷地を使い、今はいわば屋根付きスタジアムのような、野球もサッカーも陸上も、あらゆる広いスペースをとる競技がすべてできるようになっている。
もちろん、プロスポーツにおいても同様である。
高校野球の聖地・甲子園も含め、露天だった球場はすべてドーム化され、サッカースタジアムも屋根が取り付けられた。
もちろん雨対策のためであるが、季節に関係なく快適な温度と湿度に保てるという副産物もあったりなんかしたため、野外のスポーツに慣れ親しんできた年配世代にも意外と好評のようである。
そういえば、そんなドーム型施設が最初に作られ始めたのも東京だったんだよな……。
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