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「――テレビじゃ見たことあったけど、やっぱり直に見るのとじゃぜんぜん違うな……ここがかつての首都・旧東京かあ……」
同級生達と港の埠頭に立ち、目の前の壮大な光景を眺めながら僕は感嘆の声を漏らす。
そこには、巨大なドームのような灰色の曇天の下、拡張した東京湾の大海原に超高層建造物群がその頭を覗かせている。
近くにあるツインタワーのようなものはおそらく旧東京都庁、彼方に見える一際背の高い塔がスカイツリーだろう。
東京タワーの先端は非常に細いため、ここからでは遠くてよくわからないようだ。
その他にもあちらこちら、海面からにょきにょきと巨大な建造物の頭が生え出し、在りし日の威容を今も無言で語っている。
「それではこれから、潜水艇で水中観光に向かいまーす! 海の中は大変危険ですから、騒がず静かに、お行儀よく乗ってくださーい!」
ひとしきりその絶景を堪能した後、そんな教師の声に促され、僕らはクラスごとに三艘の観光潜水艇に乗り込むと、待ちに待った水没地区の見学へと向かった。
クラス別の行動は明日の予定なので、初日の今日は学年全体での見学である。
少々息苦しさと閉塞感を感じるガラス張りの筒に押し込まれ、僕らは徐々に濁った海水の中へと沈んでゆく……。
「うわー! スゲえ!」
「ほんとに街があったんだあ!」
俄かに騒がしくなり始める船内……。
やがて、潜水艇の頭に取り付けられた強烈なライトの光により、薄暗い海の底に眠るかつての街並みがありありと浮かび上がり始める。
僕らのいる乗客席は四方も天井も強化ガラスで作られているため、まるで水族館にでもいるかの如く周囲の様子がよく見てとれる。
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