紗菜さん

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紗菜さん

紗菜さんは、ちょっと変わった人だ。 「あ、お帰りー! ご飯できてるよ! 今日はカレーだぞー!!」 エプロンを外しながら声をかけてきたり。 「にゃんこ君、君のことを飼ってあげられたらいいのに…」 ツインテールを揺らしながら、猫と戯れていたり。 「少ねーん! 久しぶりだな―――!!」 大声で僕のことを呼びながら手を振っていたり。 「お兄さん、転んじゃったの? 血、出てるけど。」 心配そうに僕の顔を覗き込んできたり。 「じゃあね。  少年」 不意に、僕のもとから立ち去ってしまったり。 そんな彼女を、 8年たった今でも思い出してしまう僕も、  随分変わった人だと思う。 「ただいま。 紗菜さん」 君が好きだった、ライラックの花束を、作ってきてしまうところとか、ね
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