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散る。美しく、儚く。
最後の花が、散っていく。
長い長いこの国を、ずっとずっと守ってきた。
この国、この世界の歴史を語る上では欠かせないもの。
遠い昔、国王を愛した魔女が命を懸けて守り抜いた花。
一輪ずつ、大きな願いと、小さな夢を込めて。
彼女たちは、魔女の強い意志により、精霊となった。
あるものは、子供たちを守り、
あるものは、国に生涯をささげた。
またあるものは、人間を、
愛してしまった。
彼らは罪深きものとされ、
王子は野獣に、
精霊は、黒薔薇に変えられた。
それでもなお、お互いを愛し続けた。
そして今、
散っていった。
「この国を永遠に愛し、この世界がある限り永遠に続く平和とぬくもりを。」
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