まだ、はやい。

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まだ、はやい。

「リサには、まだ早いよ。」 「どうして!?教えてくれたっていいじゃない!!」 どうしても。 どうしても、言えない。 「俺が守るから。」 だから、まだ、知らないままで。 「おやすみなさい。また明日ね!」 「まだ早いじゃないですか! もうちょっと飲んでいきません?」 「だぁめ!」 なんで、無理矢理にでも引き止めたりしなかったんだろう。 嫌われたって、引き留めておくべきだったのに。 パチパチパチパチ・・・…――― 美しく伸びた指先。 晴れやかな表情。 それを間近に見るのは、そんなに遠くない。 閉幕には、まだはやい。 舞台は、まだ始まったばかりだ。
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