Like a princess

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Like a princess

『おいで、レイラ』 あなたはいつも、私を大切にしてくれた。 あの、暗くて狭い部屋から、連れ出してくれたの。 誰もが寝静まった、11時。 ふたりで大広間を抜けて、裏庭を駆ける。 静かに見守る木々のもとで、二人だけのパーティーをした。 あの時。 あの瞬間だけ。 私は誰にも縛られない、『お姫様』になれたの。 「あ~らら。こぼしちゃった! ごめんなさいね?フフッ」 ほら、今日も。 掃除を一人でさせられたって、悪口を言われたって。 頑張れるの。 気高く、美しく。 あの時、あなたがかけてくれた魔法は、 まだ解けてない。
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