優しさの縁、君に尋ねむ

1/1
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ

優しさの縁、君に尋ねむ

柔らかな、緑が、髪をさらって行く。 美しいカーブを描いた頬が。 ツンとした鼻筋が。 長いまつ毛の落とす、その青い影まで。 全部、僕のものになってくれたら。 そうしたら、よかったのに。 僕はかつて、君の大好きだった、あの幹に、そっと寄りかかる。 君は今、どこで何をしているんだろうか。 あの人と暮らしているんだろうか。 それとも、眠っているのだろうか。 それとも、もう僕の中からは消えてしまったのだろうか。 僕が願うのは、ただ一つ。 「願わくば、君が、幸せでありますように。」 潤んだ瞳は、気づかなかったことにしよう。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!