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「お前らわかってると思うけど夏休み中絶対に……ぜっっったいに問題起こすなよ?
怒られるん俺なん。OK?」
大智くんは特にお前らとクラスでギャーギャー騒ぐ系の陽キャ軍団を指さし注意喚起をした。
俺ら優秀なんで余裕ですわと返事をする陽キャくん。
そういえばあの人いつも騒いでいるし授業中もうるさいからなるべく関わらないようにしてたけど頭は確か良いんだよな……
テスト順位確か20位以内に入ってたな。なんだっけ名前……廊下で騒いでた時呼ばれてたような……。
「なーによ東雲くん
俺に熱い視線送ってえ。なに抱いて欲しいの?」
「あ、大丈夫でーす遠慮しまーす」
俺はひらひらと手を振り視線を戻すと振られたーと更に騒ぎ始めた。
大智くんにうるせえうるせえと怒られやっと教室が静かになった。
「一応明後日からロッカーの中清掃入るから今日明日で空にしとけよ
入ってるものは全部捨てるから
んで明明後日9時から全校集会やって晴れてお前らは夏休みに入れるわけだ
あ!暑くても正装な!ブレザーネクタイ絶対な!何人かブレザー着てなかったりネクタイ付けてなかったりいるから気をつけろよ!
さっきも言ったが面倒ごとは勘弁な
あと夏休み中の課題については今日一覧とワーク配るからちゃんと持ち帰るように。
あと夏休み明け一発目からテストあるから
んー……俺からは以上。質問ある奴はあとで直でこい」
んじゃ今日は午前で終了だからと大智くんは教室を出ていった。
俺が一限目の準備をしているとドンッと机に強めに手を着いてきてびっくりして見上げるとさっき絡んできた陽キャくんだった。
「えっと……なに?」
「東雲くんさ、俺のこと好きなの?」
「え。なんで?」
名前も覚えてないし初めて話した位なのに……何言ってるんだこのアンポンタンは。
「悪いけど俺、君の名前も覚えてないし初めて話したぐらいなんだけど。騒いでたから見てただけ。以上」
「マジレスやん。うるさかった?ごめんねー
まあ好きかどうかは置いといて!
東雲くんよく聞いてるのそれハイプだよね?」
俺は大好きなバンドの名前が出され思わず陽キャくんの腕を掴む。
「え!ハイプさん知ってるの!?」
「知ってるも何も俺太客入ってるよ!」
「嘘!まじで!?え!今年のフェスは?行く?」
「当たり前じゃん!全通だよ!」
俺はここまで話しが通じる友達がこの学校で見つかるとは思ってなくて嬉しくて思わず頬が緩む。
「え!え!なんの曲好き?」
「AT〇イリッドめちゃくちゃ好きなんだよね」
「コアかよ!最高だよ君!名前は!?」
「え。東雲くんそんな声出るの?
榊原 藍都(サカキバラアイト)だよ。覚えてね」
俺は思わずめちゃくちゃ食いついてしまってごめんと手を離した。
「可愛いなあ、俺ずっと話してみたかったんだよね
俺の周りのヤツら、バンドに興味なくて音楽の話合わなくてさ
良かったらLINE交換しない?
また話そうよ!」
俺自身もここまで話合う人なかなか出会えなかったから嬉しくてLINEを交換した。
ありがと、と言うと榊原くんは他に好きなバンドあんの?と聞いてきた時、俺と榊原くんの間に悠斗が入ってきた。
「快、授業始まるよ」
「あ、そっか
榊原くんまた後で」
「おう!
まあ真田くんの顔怖いから席戻るわ」
榊原くんはまたねとひらひらと手を振り席に戻って行った。
悠斗はムスッとした顔をして俺の方に向いてきた。
「……仲良さそうだった」
「好きなバンドが一緒だったんだよ、話しが合っただけだよ」
「……ふーん
俺といるより楽しそうだった」
「悠斗さん?あなたそんなに甘えたちゃんだったっけ?」
うるせーと不貞腐れる悠斗にクスクス笑っていると一限目の担当の先生が入ってきて授業が始まった。
今日の授業はほぼほぼテストの解説や夏休みの課題の配布、説明で終わり授業という授業は行われなかった。
俺と悠斗はもともと教科書や参考書を置き勉したりせずに居たのでロッカーの中は体育館ばきや電子辞書のみになったが明や阿部くんはほとんどの教科を置き勉していたらしく半泣きでまとめていた。
「阿部くんやい」
「東雲!違うんだこれは俺にとっては教材なんだ!」
阿部くんに至ってはロッカーの中に男同士の本があったり好きなキャラクターなのか、いくつかフィギュアまで置かれていた。
完全に私物化してるじゃんこのロッカー…
「阿部くん…来年は違う子が使うんだよこのロッカー…」
「俺はこのロッカー抱えて2年になるつもりだった」
「え?馬鹿すぎん?」
俺はもう相手にできねーやと自分の荷物をあらかた抱え悠斗と教室を後にした。
待ってよ!と明と阿部くんは慌てて荷物をまとめ出した。
こまめに整理しような2人とも。
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