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さよなら平凡な生活
桜がちらほら咲き始めた3月。
あと少しでこの汚い中学校ともおさらばだ。
通い慣れた通学路をスマホ片手に歩く。
朝聞くことが定番になっていた大好きなバンドの曲を流し見納めとなる景色を目に焼きつける。
「かーいくん!」
「うわっ!
……なんだ明か」
「なんだとはなんだよ!
お前東京行っちゃうんだろ!?なんで俺に一言相談しないんだよ!!」
後ろから飛びついてきたのは生まれた時から隣に住んでいる門倉 明(カドクラ アキラ)。
幼稚園、小学校、中学校と全ての学校を共に歩んできた言わば幼なじみ。
明は涙目になりながら俺の背中に額をぐりぐりと押し付けながら怒ってきた。
「それは悪かったって。でもあの高校にお前のその偏差値じゃ無理だろww」
「偏差値いくつのとこいくの?」
「69」
「…無理だあ……俺偏差値30ギリだもん……」
「うんうん。明はおばかちゃんなんな」
しくしくと泣きながら俺の服を引っ張る明の頭を撫で世間話をしつつ学校まで到着した。
「おーす!」
「はよーす、快に明
お前らほんと仲良いなw」
「はよw
明ちゃんが朝からかいくんとはなれたくなーい♡って駄々こねてるんよw
涼ちゃんどうにかしてw」
「明、諦めろ
お前は大人しく地元の公立通おうな」
俺の制服をぐしゃぐしゃと弄っている明の背中をポンポンと叩き慰めてくれてる優しいコイツは中学1年の時から一緒につるんでいる
加藤 涼(カトウ リョウ)。
いつもこの3人でつるんでいた。
この生活がもう終わってしまうのかと少しだけ悲しくなった。
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