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「号外―!!号外だー!!!」
街中に響き渡るその声に、人々は一瞬で声のする方に群がった。
こっちにくれと主張するように、人々は手を差し伸ばす。
押されながらも記事を受け取った者をまじまじと見つめ、文字を目で追うそんな中、目にしたのは指名手配の記事だった。
「指名手配のこの女を見つけたら、近くの兵士に知らせよ。見つけたものは報酬を与えよる。」
その記事は、この国の王国からの直々な指名手配だった。
「王国から申請された指名手配って、一体どんな悪いことをしたんだ!!」
少し酔っ払い気味の男性は、鼻と頬を赤くし、片手にビールを持ちながら、あざけ笑った。
まだ昼間だというのに、3杯目のビールに手を付けていたが、記事に顔を近づけ、急に黙り込んでしまった。
「あ、兄貴?どうかしましたか?」
子分らしき、二人の男性が首を傾げ、体をゆすろうとしたその時だ。
思いっきり立ち上がり、その衝撃で椅子が後ろに倒れた。
そして、悪い笑みを浮かべ、子分の肩を思いっきり引き寄せ、円陣を組むように近づけた。
「いいか、お前ら。この指名手配に乗っている女を俺たちが捕まえるぞ。」
「え!?俺たちがですか!?無理無理無理!!」
二人は、息ぴったりと首を横に振るい、拒否すると、
「まぁまぁ、そう拒否するなって!もし、この女を見つけたら、報酬がもらえるってことは、当分生活にも困らず、更に人気者になるんだぞ?」
悪魔のささやきのように呟き、二人の子分はそれを想像し、あっさりと承諾してしまった。
「では、行くぞ!!兄貴こと、キシュタ様と共に!!」
キシュタは、かっこつけながらその場を去ろうとすると、
「兄貴、レゴンがまだ便所から帰ってきません!!」
仲間が全員集合していないと聞くと、せっかくのかっこいい退場が一気に台無しになった。
それを見た周りの客がクスクス笑いだすと、キシュタは顔を赤くし、テーブルを思いっきり叩いた。
「何をぼさっとしている!早くレゴンを呼んで来い!!」
「は、はい!!!」
二人の子分は、慌てて呼びに走って行ってしまった。
「仕方ねぇ奴らだな…。というか、レゴンの奴マジで遅いな。」
「俺ならここにいるよ。」
「おぉ、そうか。そこにいるか……ん、わぁぁぁ!!」
背後からレゴンが現れ、キシュタは慌てて椅子から立ち上がった。
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