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その動きに、レゴンは絶句し、まじまじと少年を見つめた。
無駄のない動き、剣の構え方、軽々しく動く剣の動き、素人とは思えなかった。
「お前、初めてではないだろ?」
キシュタは、勝負中に問いただすと、少年の動きが止まった。
「本当に覚えてないんですか。」
「え…、何か言ったか?」
小声で聞き取れなかったため、キシュタはもう一回問いただすと、少年は被っていた帽子をとった。
「……!?お、お前!?」
帽子に隠されていたのは、銀髪のロングヘアで、風に揺れ、ふんわりと舞い踊っているようだった。
そして、帽子を深く被っていたから分からなかったが、よく見ると女だった。
「…、騎士様方が昔お仕えになっていた、王都の令嬢であったリレットと申します。」
「王都!?」
「ですが、これには訳があって…。」
続きを言おうとしようと、リレットはキシュタの方を見た次の瞬間、キシュタの表情が一気に青ざめていた。
そして、剣をしまいだし、跪いた。
「申し訳ございませんでした。まさか、ご令嬢だとは、気づかず…。」
そう言い、キシュタは何故か足を震わせていた。
「…いえ、私はもう令嬢ではありません。」
「え…?」
キシュタは顔を上げると、リレットは笑顔で微笑みながらも、どこか悲しい瞳でキシュタと目線を合わそうとかがんだ。
「号外の記事は、もう読まれましたか?」
「はい。指名手配者の記事が載っておりましたが…、…!?」
俺は、指名手配の写真を思い出すと、その写真は現に今目の前にいる、リレットにそっくりだった。
「あの指名手配の写真は、紛れもなく私です。」
「……え!?」
リレットは、下をうつむき、ゆっくりと語りだした。
「王宮の人々は、私を恨んでいました。王様の娘である私が、邪魔で仕方がなく、ついに王まで暗殺されてしまい、残った私を幽閉し始めました。」
すると、リレットは瞳に涙を浮かべ、歯を食いしばりながら話を続けた。
「一生ここで過ごすなんて、耐えられず、私は脱獄しました。その結果が、これです。」
そう言い、リレットは指名手配の記事を指さした。
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