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翌日の夕方、きっちりシャワーも浴びて準備完了な俺。普段やる気もクソもなく、パンイチでいることも多いが、ちゃんとする時はするのだ。
「どこいくのさ?」
「お手伝い」
「なんの?」
ユキが押し入れから俺の服を物色しながら聞いてくる。
「知り合いの飲み屋だよ。人が足りない時に呼ばれんの」
「へー」
黒いTシャツにダボっとしたデニムを取り出して、それをまるで自分のもののように着用。幸い、身長が2センチほど違う(俺の方が低い)だけなので違和感は無い。
「オレも行く」
「だろうな」
ユキがここに来て数日、どこへ行くにも何をするにもユキは俺について来る。まるで、犬みたいに。
トイレにまで押し入ってこられたときには、流石に蹴り飛ばしたけど。
俺たちは連れ立って部屋を出る。もはやそれが自然な感じに馴染んでしまってさえいる。
少し離れた繁華街の、路地をちょろっと入ったところにその飲み屋はあって、まあ、いわゆる風営法ギリギリのグレーゾーンな店だ。
時刻はまだ18時を回ったところで、夏場の今、外はかなり明るい。それなのに、古風なネオンに彩られた店には既に客が何人かいた。
「あらぁ、マキちゃん!!いつもありがとぉねぇ!!」
絶妙にキモいオネェ言葉で出迎えてくれたのは、この店のママであるオカマ、エリカちゃん(45)だ。
彼女(改造途中だが一応彼女としておく)は、デブ……じゃねぇ、ふくよかな身体にタイトなドレスをピチピチ……スマートに着こなし、気持ち悪……妖艶な笑みを浮かべてウィンクをよこした。
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