ニート×ニート

1/2

871人が本棚に入れています
本棚に追加
/368ページ

ニート×ニート

★ 「なあ、あんたいつ帰んの?」  二階建ての一階、奥、角部屋。そのボロいアパートの一室が俺の家だ。大家は叔父。身内のスネをかじって一人暮らし。  というか追い出されたというか、隔離されたというかなんか、俺は身内に嫌われている。  理由は簡単だ。ニートで働く気がないからだ。 「あー、家が家出したんだ」 「家が家出したんじゃねぇだろ、オメェが追い出されたんだろどうせ」 「そうとも言う」 「そうしか言わねぇよ!」  目の前で天井を見つめながらタバコを咥えているのは、容姿しか取り柄のないクソニートの男だ。  金髪色白顔面良し、そこそこ筋肉質。26歳同い年。頭は弱いが、俺もどっこいどっこいなのでなんとも言えない。 「ここにいるのはいいけどよ…家賃くらい払えよ」 「はあ?お前ここタダっつっただろ?」 「家主は俺な?ここにいたいなら俺のために働け」  そう言うと、そいつはニタニタと下品に笑う。せっかくの顔面が台無しだ。 「オレはお前のために働いてるぞ!」 「働いてんのはオメェのちんこだけだろ!!」 「こいつはオレの一部だろーが!?」 「食えねぇだろそれ!」 「デカすぎて?」 「死ね!!」  思わず頭を叩いた。タバコの灰が飛び散る。  そんなアホみたいな会話をしている俺は、牧 修哉(まきしゅうや)。目の前のアホは雪村 幸太(ゆきむらこうた)。  出会ったのは一昨日。  いつものパチ屋でのことだった。
/368ページ

最初のコメントを投稿しよう!

871人が本棚に入れています
本棚に追加