出逢いは雨音のなかで

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おかげさまにランチメニューは早々に売り切れ、おやつどきにはお菓子とドリンクを販売した。蒸し蒸しするけれど、気温は上がってきたからそろそろアイスドリンクに力を入れた方がいいかもしれない。冷たいデザートも良いな、と思いながら、久し振りのからりとした空気を吸い込んだ。 梅雨の中休みのせいなのか、天気予報に反して二日連続で晴れていた。 と言っても土曜日だからキッチンカーはお休み。お店にも出なくて良い週末を過ごしながら、月曜日を迎えた。 今日もぎりぎり雨は降っていない。このまま梅雨明けしないかな、と思いながら鈍色の雲に覆われた空を睨みつける。販売し始めて途中で雨が降るのが一番厄介だ。 なんとかランチは売り切ったところで雨がぱらつき始め、少し早めに店じまいすることにした。 店に戻り、残ってしまったクッキーを店頭に並べながら、霧島さんはどうしているだろう、と思い返した。彼が美味しいと言ってくれたコーヒーを、父に伝えておけば良かった。 「ねえ、お父さん。霧島さん……あの、ちょっと怖い雰囲気の男の人、きてる?」 「ん?なんのことだ?」 「あれ、いらしてない…?」 霧島さんの特徴的な格好を伝えるけれど、父には全然見覚えがないようだ。 あれだけ目立つ人を父が覚えていないとは考えにくい。 もしかして、来てないのかな。 常連になってくれるかと思って、嬉しかったのに。このまま雨が降り続いたら明日は久し振りに店番だと思っていた。 キッチンカーは好きだけどお店にも立ちたい。 そう思ったのは、紛れもなくまた会いたいとじんわり感じていたからだ。 でも、会えないのか。それ以上深く考えないように、こっそりため息を吐いた。
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