ハッピー・バケーション

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「失礼します」  私は慌てて飛び起きた。本当にすぐにお料理が運ばれて来てびっくりした。まあ遅れて来たのだし、とっくに用意は出来ていたのだろう。早く片付けたくて仕方がないと言う所だろうか。 「地元で採れた物ばかりです。野菜もお魚も」  ここら辺は高原野菜の一大産地だという事を思い出した。どれも瑞々しくて美味しそうだ。 「お風呂は24時間いつでも入れます。お食事終わったら是非お入り下さいね」  そう言って女将さんは部屋を出て行った。  お料理はどれも美味しかった。調味料とか調理法とかでは無く、素材自体の味が濃く美味しかった。  お腹いっぱいになり、私はいつの間にか眠ってしまった……。 「…………」  誰かの話し声で目が覚めた。いや、話し声ではなく、これは歌声だ。 「ここの温泉いい温泉〜  切り傷擦り傷すぐ治る〜  肌荒れぶつぶつすぐ治る〜   入らにゃ損、損、入るべし〜」  な、何?   起きて周りを見回したが誰もいなかった。夢でも見たのだろうか。そう言えばお風呂に入っていなかった。せっかく起きたのだから入りに行こう。  タオルと着換えを持ってお風呂へ向かった。お風呂は大浴場と露天風呂があった。もちろんここは露天風呂でしょ。  私は浴室から引き戸を開け外に出た。外には人工的な明かりは無く、月明かりだけが辺りを照らしていた。早速湯船に浸かった。
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