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私は抜け殻になった。若しくは燃え尽きて灰になった。
私はふら付きながら、何度もコケながら、最後の力を振り絞り部長のデスクへ辿り着いた。
「部長……これを……」
私は休暇届を部長に提出した。
「分かりました。吉田さん頑張って下さいましたからね。ゆっくり休んで下さい」
そう、私は頑張った。
私は化粧品メーカーに勤務し、その宣伝部に所属している。今年一押しの化粧品の宣伝のため、ここ数ヶ月間、休みも返上し寝る間も惜しんで働いた。
その甲斐あって中々良いものか出来たと自画自賛している。
「社長も感心していましたよ。こんな素晴らしいものは初めてだって」
「本当ですか?」
「はい。私も部長として嬉しいです、って言うか、私も気に入っています。吉田さんはセンスがいいですね」
社長に褒められたなんて初耳だ。これはボーナスに影響するかも、なんてちょっと期待。
しかし、部長に褒められると素直に嬉しい。まだ若いのにもう部長になるほどの優秀な人物。それもイケメン。社内の結婚したい男No.1だ。はい、私は部長に褒められたくて頑張ったのです。
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