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「ここの温泉いい温泉〜
朝風呂昼風呂夜お風呂〜
ついでに夜中も
入らにゃ損、損〜」
眩しい日差しと歌声で目が覚めた。起きて周りを見回したが、やはり誰もいない。
せっかく起きたのだからとタオルと着換えを持ってお風呂へ行った。
夕べは殆ど真っ暗で何も見えなかったが、明るいところで見ると中々な眺めだった。勇壮な山々に囲まれ、旅館の裏には渓谷があり、もの凄く透明な川が流れていた。
川のせせらぎ、木々のざわめき、鳥の鳴き声。自然の音しか聞こえて来ない。これは癒やされる。
湯船を見ると見事に白濁していて湯花だらけだった。底がぬるぬるしているのは湯花のせいかと納得した。これは確かに肌に良さそうだ。
「おはようございます」
「!!」
またもや先客がいた事に気付かなかった。こんなに明るいのに。
今朝の先客は若い女性だった。目がクリクリしていて小鹿みたいだ。私と同じくらいか少し下くらいの女性だった。
「朝湯は気持ちいいですね。空気がとても美味しい」
「本当に……」
やはり女性の肌も綺麗だった。キメ細かく潤いもある。朝日に照らされ輝いている。私も毎日この温泉に入ればそうなれるのだろうか。
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