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彼女の止まらない涙を、そっとすくい上げた。
外の景色は同調するかのように、
未だ静かに降り続いている。
身体を重ねた後に言うのは、
きっとズルいと思いながらも、
『愛している』と囁きながら、頬に軽くキスをした。
お互い傷を負った者同士、どこか気が合ったのだろう。
彼女は付き合う前から雨女だったが、
わたしも実を言えば雨男だった。
マイナスとマイナスが重なって、
反転したせいなのかもしれない。
外の雨は止まないようだが、彼女の涙は止んだようだ。
どんよりと覆った重い雲が、
どこに身を隠したのかわからないが、
雨を降らしながらも、輝く日差しを向けていた。
狐の嫁入り。
晴れながらも雨を降らす、
一見不可思議な、気象の事象。
梅雨は始まったばかりだけれど、
彼女1人の為だけの、
晴れ男になれればいい。
腕の中から見つめ返すその瞳からの雨だけは、
これから降らせることがないように…。
2人の未来も、まだ始まったばかりだ。
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