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 四年も前のことを、それも結婚式を間近に控えて、何を思い出しているのだろう。  亮と出逢ってはじめて知った。真っ直ぐに愛されるとはどういうことかを。  時々何を考えているのかと瞳を覗き込むと、ぷいっと視線をはずす。そのくせ、気付くと私の顔をじーっと見つめて微笑んでいる。  一緒に買い物に行くと、さりげなく荷物を持ってくれる。何気なく話したことも、全部ちゃんと記憶している。記念日の手紙を欠かさない。辛い時はじっと黙って側にいてくれる。  少し顔を赤らめたあなたが、ご家族を紹介してくれた日のことを私は一生忘れないだろう。   もう、いつかかってくるか分からない電話に待ち疲れることはない。会えない週末に泣き暮らすこともない。嫉妬、疑念、不安で構成された厄介な日々。亮との恋愛は、その対極にある信頼が紡ぐ穏やかな毎日だ。 「同僚曰く、流星群は明かりの少ない空が広く見渡せる所で良く見えるらしいんだ。どうかな? 興味ある?」 「勿論! 亮と一緒に星を見に行きたい」 「実はもう予約してあるんだ。那須の高原ホテル。相談してから決めたほうが良かった?」  亮は少し眉間にしわを寄せて私の顔を覗き込んだ。 「ううん。ありがとう! 那須は行った事がないから凄く楽しみ!」と、心の底から湧き出る思いを口にして、亮の手に自分の指を絡めた。  私は何があってもこの手を放さない。  今度流れ星を見たら、お願いではなくお礼を言いたい。   ――幸せになりました。ありがとうございました――                                        
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