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またすぐにさっちゃんに会えるんだ、と浮かれる暇はなく、現実は仕事に追われていた。 土曜日までの3日間に納期もあるし、打ち合わせもある。職業的に忙しいって言うのは有難い事だけど、最近まで結構マイペースに仕事してたから、ここに来てのこの忙しさは中々に堪えた。 そして、やらかした。 「さっちゃん!本当にごめん」 会うなり手を合わせて謝る。 待ち合わせ場所近くのチェーン店のカフェ。 気がつけば朝方までデータと戦っていた結果、俺は見事に寝過ごして約束の時間を30分ほど遅刻してしまった。 「だ、大丈夫ですから!睦月さん、座って下さい」 勢い良く走って来た上に着くなり謝る俺は相当目立ったのか、周りの人がチラチラ様子を伺っていた。 俺、やらかしてばっかりだ…… がっくり肩を落としながら、俺はテーブルに向かう。 「何か飲みますか?私買ってきますよ?」 心配そうに俺を見上げるさっちゃんの顔を見て、俺はあれ?と思う。 あぁ、いつもとメイクが違うんだ。 いつもは、あまり色味のないナチュラルメイク。けど、今日は何となく淡いパステルカラーが使われてて、リップもいつもより明るい。 「可愛い……ね」 寝不足も相まって、心の声がダダ漏れになる。口に出してからしまったと思ったけど遅い。 みるみるうちに顔を赤らめると、さっちゃんは立ち上がる。 「揶揄わないで下さい!コーヒーでいいですよね?」 とさっちゃんはカウンターの方へ行ってしまった。 本当の事なんだけどなぁ…… その後ろ姿を目で追いかけながら思う。服装も、いつもの動き安さ重視とは違うロングタイトスカートで、それがとっても似合っている。 もしかして、俺のために?いや、休みの日はいつもこんな感じ? 回らない頭でぐるぐる考える。 だって、可愛いんだからしょうがないでしょ…… いつもと違うさっちゃんに、馬鹿みたいにドキドキする。初めて出来た彼女にもこんなにドキドキした覚えないのに。 ガキかよ全く。 項垂れるように待っていると、さっちゃんが席に帰ってきた。 「睦月さん。あの、体調良くないんですか?」 頭上から心配そうな声が降って来て顔を上げると、同じように心配そうな顔をしたさっちゃんがそこにいた。 「そんな事ないよ?ごめんね。ほんと」 俺が取り繕うように笑顔を作って言うと、その顔のままさっちゃんはトレーを差し出した。 「これでも食べて元気出して下さい」 そこには苺のショートケーキとコーヒー。ちゃんと俺が苺好きだって言ったの覚えてくれてたことに嬉しくなる。 「ありがとう、さっちゃん。元気出た」 さっちゃんに会うだけで元気貰えてるよ?と心の中で言いながら、俺はそう言った。
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