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朱音は翌日の昼前には目を覚まし、用意していた解毒作用のある色々な薬草を混ぜたハーブティーを飲ませると、もの凄く顔をしかめた朱音を見て冬真は吹き出した。
口直しにアレクがオレンジジュースを持ってくれば、朱音が一気に飲み干して苦さを洗い流した子供のように見えて再度冬真は笑ってしまい、朱音は複雑そうな顔をしている。
「調子はいかがですか?」
「何だか一杯寝たせいか身体が痛いです」
「数日寝てましたからね。食欲はありますか?」
「今は飲み物で一杯です」
「なら落ち着いたときに軽く何か入れましょう。空腹はいけませんから」
そういって椅子の後ろに立っているアレクを見れば、頷いて部屋を出て行った。
「・・・・・・どこまで覚えていますか?」
冬真の問いに、朱音は困ったような表情になる。
「おばあさんに生キャラメルをもらって食べて、そこから何か曖昧で。
でも、冬真さんに約束をしたことは不思議と覚えていたんです」
あまり怖い事を覚えていなかった、いや今は思い出せないだけかも知れないが、そう言った朱音に冬真は少し救われた気がした。
「でも約束は覚えていたんですね」
「はい・・・・・・」
恥ずかしそうに朱音は言うと、冬真の視線から逃げるように俯いた。
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