第五章 愛しい人へのアメシスト

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「おーい、そろそろ入って良いかー」 急にドアの向こうから健人の声が聞こえて、朱音はビクッと身体が大きく揺れて冬真の手が離れた。 もしかして色々聞かれていたのだろうかと思い、朱音の顔が熱くなる。 「大丈夫、健人は何も聞いていませんよ。 入りたがっているのをアレクが止めていただけです」 「じゃぁアレクは知ってるんですね」 恥ずかしい気持ちになりながら肩を落とす朱音に、 「健人にも全て話しましょう、私達の家族ですから。 えぇ、どうぞ」 冬真は優しく微笑み、ドアに向かって声をかけると、健人が面倒そうな顔で冬真を見た。 「なんかよくわからんが色々終わったか?」 「はい。無事結婚が決まりました」 朱音は冬真の返事に、え、結婚が決まったの?!の驚く。 結婚を前提に交際がスタートしている認識だったが、もう結婚に動くのだろうかと戸惑う朱音の顔を見て、健人が流れを悟る。
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