第五章 愛しい人へのアメシスト

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「こっちは腹減って・・・・・・おい、朱音に何をしたエセ紳士」 ダイニングの自分の席で待っていた健人が、朱音が俯きながらも黒髪から見える耳が赤いことに気づく。 「行動はしてません。発言のみです」 「朱音の顔をそこまで赤くさせる発言ってえげつなさそうだな」 冬真が朱音を座らせると、自分の席に向かいながら健人とそんな事を言い合う。 朱音はひたすらに恥ずかしいが、この日常がたまらなく愛しい。 冬真達には豪華なクラブサンドイッチ。 朱音の前には、体調を考慮して卵入りのおじやが出され、その隣に置かれた皿にあるカットされたオレンジには、何故か日本の国旗とイギリスの国旗がついたピックが刺してある。 朱音が不思議そうにアレクを見るが、無言で視線も合わせない。 だが健人はそれを見て豪快に吹き出すと大笑いしだした。 「アレクなりの祝い方だな!」 「こういう事をするとは意外でした」 冬真は苦笑いをしているが朱音もやっと意味がわかり、紅茶を用意しだしたアレクに声をかける。
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