隣の芝生は青くて大変

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「あぁ紹介します。僕の婚約者です」 朱音は目の前に現れた和服姿のイケメンに驚いていたが、冬真の言葉に我に返りお辞儀をする。 冬真に言われたことが最初頭に入っていなかったが、婚約者として紹介されたことが恥ずかしくて顔が火照ってしまう。 光明はまさかあの冬真に婚約者が出来るとは思っていなかったのでその紹介に目を丸くした。 「冬真さんの婚約者ですか、おめでとうございます。 私は藤原光明です。彼女は、そうですね、婚約者予約をしている相手です」 は?!という光明の隣の少女が驚いて、光明は小声で彼女に言い合っている。 その様子を見て冬真はあの彼をこんな年相応に振る舞わせる少女に目を細めた。 やはり愛という魔術、呪はどんなものよりも強いのだと実感する。 「また仕事をお願いするかもしれません。その時は」 「えぇこちらこそ」 冬真の言葉に光明が返すと、お互い挨拶をしてその場を後にした。 「気になりますか?」 「えっ?!あ、いえ、あの方も魔術師なんですか?」 ずっと無言だった冬真が急に声をかけてきたので朱音は、さっきの男性を思い返していた時だった為思わず声が大きくなった。 それを隠すように質問をする。
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