隣の芝生は青くて大変

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「では、一番は?」 わざとだ、と思いつつも健人からあいつは結構捻くれるから気をつけろと言われたのを思いだし、こんな子供っぽいヤキモチを味わっていることに嬉しさが沸いて朱音は口元が緩んでしまう。 格好よくスマートな冬真も素敵だが、こうやって感情をストレートに示してくれるのは朱音からすれば自分は特別な存在と思って良いのだと実感させた。 「もちろん冬真さんです」 「なら証を」 「え?」 ちゃんと言えば済むと思っていたので朱音は戸惑う。 「ここでキスして下さい」 「えっ?!」 お台場の、それもカップルが多くいる海沿いの場所。 確かに人目もはばからずキスしているカップルもいるが朱音にはハードルが高い。 だが、冬真を見ると寂しげな表情にも見えて朱音は視線を漂わせた後、覚悟を決めた。ただ冬真が朱音を追い込むためにした演技だったと気づくわけも無く。 「目を、閉じててくれますか?」 冬真は答えのように目を閉じ、朱音は周囲には誰もいないのだと必死に自分に言い聞かせ冬真のコートを握ると背伸びをして軽く、口づけをした。 が、がしっと冬真に抱きしめられ、朱音はひゃ、と声を出す。
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