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「ですかね……」彼女はハンカチで目元を拭う。周りにひとの少ないテラス席でよかったと思う。この環境も比嘉が配慮してくれたのだろう。
「うん。信じることよ」比嘉が、彼女の肩に手を添えた。「わたし、二人も産んでるんだから。榎原さんは、きっと、大丈夫。
にしても。産まれてからが、大変よ。
子育てできる体力をいまのうちに養っておくことを、おすすめするわ」
「ですね」彼女は、三日ぶりくらいに、笑った。すごく久しぶりのことに感じた。笑える元気が残っていることに、彼女は安堵した。この悪夢の三日間が、どこまでも、長すぎて、終わりのないものに感じられたくらいだったから。
二人分のカルボナーラが来てからは、比嘉の子育ての話をたくさん聞き出し
そんな未来が訪れるだろうことを、彼女は、願った。
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