act63. 結ばれる *

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act63. 結ばれる *

 落ち込んでいる暇なんかないくらいに、イベントが盛りだくさんだった。  翌週には蒔田のマンションへと引っ越し。  その次の週には、例のマンションの仮契約を済ませ。  三月に入ると。紘花の父と紘花と蒔田とで蒔田の実家へ挨拶に向かった。  そこで彼女は、いよいよ初めての蒔田の父との対面を果たす。 『私は、息子の問題に干渉するつもりは、無い』  第一印象は、情の薄い人間、だった。 『どのような人間を選ぶというのは、そやつの自由であり趣味に任せておる。もはや蒔田家から勘当されたに等しい人間が、今更どの面を下げて会いに来ておるのだ』  その印象を裏切らない発言を蒔田(まきた)観樹(かんじゅ)は続けて見せた。 『正しい判断を下すように教育してきた親の努力を無下にし、常に勝手をして生きてきた人間がこの期に及んで「よろしくお願いします」、か。 所帯を持つから理解せよというのならこれまでの三十数年、一切の努力を怠りながらにして生きてきたその怠慢を反省せよ』  息子の結婚を祝うどころか。  彼の存在を否定すらする発言に彼女は憤りを覚えたが。
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