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あまり酒に強くない俺はその一杯をちびちびと飲み、今日一日を振り返ると意識はぼうっとし始め、ざあっーと尽きなく続く雨音を耳に貼り付けるとそれはリラクゼーション効果のある音楽のようにも思えてきた。
「隣、いいですか?」
そんな折に声をかけられ、ハッとして振り返る。そこには二十代後半だろうか、とにかく同世代ほどに見える、しかしとても綺麗な女性が立っていた。
「も、もちろんいいですよ」
女性は容姿端麗で、くりっとした大きな目は何でも知っているかのように凛としており瞳は自信に輝き鼻筋の通った高い鼻は横顔の美しさをさらにひときわ際出させ、彫刻のような曲線美の成せる技に思わず魅入りそうになった。
「お仕事帰りですか?」
女性は俺の隣席に座ると積極的に話しかけてきて、無論それには悪い気などするはずもなく、俺も自ら進んでこの世間話に加わり酒の弱い自分が追加のカクテルを何杯も頼んでいるほどには時間を忘れ、とても楽しく、そして上機嫌になっていた。
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