縁もゆかりもないキミへ

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(3) 朝目覚めると、秀治はひどい頭痛に襲われた。結局缶ビール2本だけでは収まらず、前開けた日本酒にも手を出したのがいけなかった。昨晩の自分はそのままソファーで寝てしまったらしいし、テーブルの上には途中まで食べたつまみのあれこれが散乱している。 ──止める人や片付ける人がいないと、自分はこんなにもだらしないのか…… そう考えると、二日酔いで重くなった頭が、更に重たくなった。 「水飲も……」 秀治はよたよたと立ち上がり、壁を伝いながらなんとか流しまで辿り着いた。そしてひとまず水道水を一杯、口から水を(したた)らせながら補給した。体内に水分が巡ると、少しだけ体が正常に近付いた気がした。秀治はふとテーブルの上を眺めた。そこには、昨日放り投げた封筒の束が広がっている。そこには、もちろんあのピンクの封筒が乗っていて…… パカっと封が開いていた。 秀治は焦った。見間違いじゃないかと近付いて調べてみたが、いくら見ても開いているものは開いている。更に最悪だったのは、肝心の手紙が、フローリングの上に放り投げてあったことだ。 秀治は真っ青になりながら、その手紙を拾い上げた。手紙には大きく『パパへ』と書かれており、その大半は絵で埋められていた。様々な形の花と、花に囲まれる女の子。鉛筆で描いただけで色はなかったが、見ていると自然と明るい気分になれた。手紙の下には、『7さいになったよ。みうより』と続いていた。
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