縁もゆかりもないキミへ

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(4) 週明けも、明日香は帰って来なかった。だから手作りのご飯や、"ただいま"の出てこない生活は、相変わらず継続していた。そして、少女からの手紙も、秀治の元へ届き続けた。土曜日に届いた手紙で、確かに8歳を迎えたはずの少女は、月曜日に届いた手紙では9歳になっていた。かなり信じ難いことだったが、本当に1日経つごとに、少女は1つ歳を取っているようだった。 今日は火曜日だったが、秀治が仕事帰りに郵便受けを覗くと、今日も淡いピンクの封筒が届いていた。彼はさほど驚くこともなく封筒を取り出し、いつものようにカッターで綺麗に糊を剥がしていった。そのまま慣れた手つきで手紙を取り出すと、今回も沢山の花に囲まれた少女の絵が出て来て、彼の体や心を和ませた。秀治は、鉛筆で書かれた文字を目で追った。
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