11人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
(1)
3階の角部屋は、今日も真っ暗だった。
風間秀治は、ひどく落胆した。
こんな状態が2週間弱……根拠はないが、今日こそは帰ってきている気がしていた。だから、まっすぐ帰途にはつかずに、わざわざコンビニに立ち寄って、缶ビール2本とカマンベールチーズ、それに彼女の大好きな鮭とばまで買って来たのだ。だが、その読みは大きく外れてしまった。
「そっか、いないのか……」
秀治は溜息を吐いた。そして、すっかり価値のなくなった酒とつまみをぶら下げながら、重たい一歩を踏み出した。
最初のコメントを投稿しよう!